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『ハルハアケボノ』

 

 先日、仕事でオートバイに乗って山を下りると、通り沿いの桜がいきなり咲いていて驚いた。今年の桜は多少早いんだ。こぶしやれんぎょうも気が付くともう花をつけており、無彩色だった山々もポツポツと色のプリントが付き始めている。すぐにパッチワークのキルティングのような山に変わるだろう。
 この時期は例によってオートバイ屋は超多忙で、花の時期を逃すことが多い。遅くオートバイを出して、GWには乗りたいというオートバイ乗りがとても多いのだ。ホントは冬の前に整備を終わらせておく方がオートバイにもオートバイ乗りにとっても良い事なんだけどね。春はオイル交換とバッテリー充電と空気圧調整だけで必ず一発で走り出せる。
 これはツーリングにも言えるのだけど、走りに行って、帰ってきてオートバイを整備したり、キレイにし終えて、そのツーリングは終わるのだと思って欲しい。人間だって外で汗かいて遊んできたら、メシ食ってクソして風呂入って一日を終えたいでしょ。汚れたまま置いとくと、汚れは定着する。そして次に走りに行く時には、疲れが残った状態でオートバイは走ることになり…ま、ギリギリまで走っていたい気持ちも解るけどね。洗車してキレイになった愛機を眺めて『お疲れさん』と声をかけて、走りを終わりにする余裕が欲しい。よろしくね。
 そういう自分も余裕を持って花を愛でに走りに行きたいものだ。GWの名所のごったがえしは遠慮するが、車通りの少ない田舎町の小さな学校に咲く桜や、雪溶け間もない林道にポツネンとある山桜なんかには、ついエンジンを切ってサイドスタンドを出したくなる。おにぎりとお茶、あとはセブンスターを一本だけでも充分な『花見』になる。花を見るだけでいい。あまり何も考えたくもない。自然に沸き上がる「キレイだな…。」という感情にただ逆らわず花を愛でるのだ。会話や酒は、花見にはホントはいらないんだよね。たとえ短い時間でも、感じるままに感じるだけの時間て、意外と日常には少ない。時にはナルシストとかキザとか自分で思って、それを避けたり、口にしないだけで、本当は思いきり浸ってしまうとなかなかいいものだったりする。
 日本は本当に季節感が豊かな国だと思う。昔からの習慣とか祭事は、そんな季節感と共に豊かになった日本人の感性から生まれており、それは日々風にさらされるオートバイ乗りの感性に実は共通することが多いのでは? と思う。
 オートバイに乗ることが、実は古来からある日本的感性を維持することになるのだ…なんて考えるとオモシロイな。『むらさきだちたるくものほそくたなびきたる…』うん、うん、と思いませんか?
 この『北単』も、思いつくままに日々のよしな事をオートバイ乗りの枕草子や徒然草的に綴っていけたらいいなァと思います。
 でも今年は桜が早いから、考え事が絶えない仕事が一段落したGW明けには、もう葉桜だろうなァ…
 皆も誰にはばかることのないソロツーリングでは、自分にテレずに、感じるままの自分を素直に見つけて下さいな。
 ではまた!


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