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『大事なことはオートバイに教わった』

 

 ようやくいつもどうりの雪が降って、いつもどうりの冬のオートバイ屋らしくなった。しんしんと降り続く雪は自然の吸音材となり、どこか静かで、どこか暖かくもある。そんな静寂の中で、好きなオートバイとじっくり対峙する冬は嫌いではない。オートバイ屋の特権かな。以前は部屋に自分のオートバイを上げたりもしてたけどね。細々と手をかけてオーラを放ち始めたオートバイ達を眺めていると、コーヒーもタバコも美味しく感じる。
 年明けに子供が産まれた。たいへん感動はしたけれど、親としての自覚はまだ感じない。あるがままに振る舞う小さな生き物を手にしながら、きっとこれからこの子に自分は学んでいくのだろうと思う…。
 考えてみれば、自分は大事なことは全部オートバイに教えてもらった。もちろんベースとしての人の在り方みたいなモノは自分の親にまかせたとしても、今の自分の在り方、やり方、大げさに言うと生き方はオートバイに乗ることで形成された気がする。その事に自分は満足している。今のところ。
 全体の流れの中での自分の位置取り。自分を押し通すことのリスク。旅先での見知らぬ人の親切の嬉しさ。そしてその逆の悲しさ、辛さ。ごまかしは誤魔化しでしかないこと。一期一会。孤独。臨機応変。自分の中でのルールを決めること。自分と他人の強さ、弱さ。受け入れざるを得ない現実と運命。そして何故、生きているのか…。
 もちろん、オートバイに教えてもらうのがイチバンなんて言わないし、んなアホな…と思う人が大多数だろうし、子供に「バイク乗れ!」と迫るつもりもない。ただオートバイに乗ることを自分で選び、走り続け、自分は自分で造り上げたと思えるのです。人生をマラソンや山登りなんかに例えるように、「オートバイに乗ること」にも例えられるなぁと思ったのです。
 好きで、自分の意志で始めた事であれば、いつか楽しさの中で、そんな風に人生に例えられる程に何か大事な物事を学べたら(それがオートバイではなくとも)、いいなぁと思うのです。
 皆も、そんな何かを見つけられることを、そして我が子にも願います。
 オートバイの世界、まだまだ広く深いです。楽しくてしょうがない。
 これからも、北単やっていくかんね!


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