もう寂しくなってきた。30℃を超える暑い夏は一瞬のキラメキのごとく過ぎ去り、空高い雲は流れ、トンボが放物線を描いて向かって来、夜には秋の虫が鳴いている。暗くなるのもずいぶん早くなった。
駆り立てられるように、朝、支笏湖までのライディング。普段、他人のオートバイのテストランばかりの中、一息つくような愛機との会話。相変わらず万全の状態。それ以上に慣れ親しんだ安心感。「コイツとならば大丈夫」と思える。相対的にどのようなペースで走っているかは解らないけれど、自分の心身の状態、オートバイの性能・状態、走っている環境、交通の流れ、全ての中でのバランスがとれた上で走っている実感があって、そのうち頭の中が空になる。一、オートバイ乗りに環る瞬間である。
数十年、ふらりと短い時間走るならば、この道だったかもしれない。変わることのないここの森と道は、それでも飽きることはない。いい気分だ。んでもって遠くに走りたくなる。この楽しくて幸せな時間を腹いっぱい…ってね。さらに言えば、それで走り始めるとキリがないことも知ってる。
良いんだよね、秋のオートバイツーリング。日照時間は短いけれど、夏の名残りみたいな太陽に会えるとすごく得した気分になるし、空気密度は高いからオートバイも楽そうだし、温泉も特に露天はこれからがいいね。冷んやりとした空気の中で喰うメシもうまいし、寝袋の暖かさも極楽だよね。良く眠れる。
内地から走りに来てたツアラーも減って、キャンプ地も静かになる(それでもオートバイキャンパーはマナーが良いけど)から寝坊するほど快適な眠りを得られる。そしてその分、快調な走りになるわけだ。
あァ、妄想が広がる…ヤバイなァ、変態はいってるかも。
そういえば、今から20年程前、自分が何になりたいか解んなくなったエアポケットに入った頃、「ちょっと出てくる」と、ヤマハの空冷2スト2気筒で走りに出て、4ヶ月ぐらい帰らなかったことがある。北陸の蒸し暑い夏の日に出て、最終的には北海道の雪の便りに押し返される秋の終わりに帰ったっけ。
日本を横切って、太平洋と中部の山々を行ったり来たりしながら南下し、神戸あたりで折り返してジグザグに中部・東北と北上。恐山をおりて北海道に渡り、道東・道北をウロウロ。確か宿泊はその間2泊だけだったかな。ずっとテントか野宿。友人宅もあったけど。
今思えば、至高の旅だったけれど、当時は何かしらの答えを求めつつ、旅の終わりを待つように走り続けていた。確かにキリはなかったけど、帰ろうと思った時「終わりなき旅は、そうは楽しいばかりではない。自分にとって旅は帰ってきて初めて旅であり、旅に出るために働くのも旅の一部で、それもまた楽し!!」…と結論づけた記憶がある。
従って、オートバイに跨って走っている時と、次の旅の為にある日々は、共に楽しい「オートバイの時」で、つまりはエンドレスに楽しいのだ…と若い自分は妙に納得して帰ったのだ。
そして、先ずはその「旅」に不可欠な自分の帰るトコロを探した。今、その帰るトコロはココ北の大地であり、ずっと満足している。
いつもの秋がやって来る。うん。
さ、働こっと。
オートバイシーズンはまだまだこれから。皆、楽しく走って下さいな。
では、また!