いつもの冬よりは確かに気温は低くない気がするけれど、少なくともウチの店の周りは結局いつも通りの雪が積もっている。気が付けば日も長くなってるし春分の日ももうすぐだけど、先は長いね。身体もずいぶんナマってる気がする。イヤ、ナマってる。
先日久し振りに、古いフリースタイルボードにソフトブーツで山に入った。とは言えちょっと身体慣らしにゲレンデを滑るつもりだったのだけれど。行ったのは札幌市内のスキー場だったし、オフピステなんて期待もしていなかったけど、たまたま前日から珍しく大雪が降ってて、圧雪していない斜面は上出来のパウダーだった。予想に反してかなり興奮した。そして現実に直面し、打ちのめされヘロヘロになって4本目ぐらいには足がつった。
子供の運動会で張り切って足がもつれて転ぶお父さんの気持ちである。イメージだけはハッキリとしているし、思ったよりターンも決まるし、『イケル!』と思っているのに情けない足の筋肉がイキナリ『もうダメです〜』とへこたれて頭からパウダーの雪の中に突っ込み、もがいてはまた体力を失うのである。
でも気持ち良かった。頭を下にしたままふかふかの雪の中から空を見ていると、森の樹々にトリミングされた視界に、遙か上空から紙吹雪のように次々と雪が舞い降りてくる。とても数百万人もいる札幌市内とは思えない静粛な雪景色は『やっぱり、ここが好きだ…』と心から思わせた。そのスキー場は20年振りぐらいだったが(夏はバイクでテストランには来たりしたけど)、数年前にリニューアルしてすごく良くなった気がする。灯台もと暗し。ちょっと嬉しい発見をした気分だ。
しかしいったいナニが楽しいのだろう? とまた思ってしまう。「滑る」と言うより「落下(ヘタクソの僕にとって)」に近い斜面での浮遊感、重力と遠心力を利用して樹々を縫ってターンを決め、自らのスプレーから飛び出す快感、危ういバランスの中で自分の身体をコントロールする楽しさ。よく『スキーとオートバイは似ている』なんて言われるけど、何だか解らない快感も同じかな…と思う。疾走感やコントロールの楽しさとその中にある「危うさ」すらも。「アブナイ」のは楽しいのか? と思う。
もちろん公道や山の中でも他人に迷惑をかけることになる以上、事故はあってはいけないし、自分をきちっと管理する責任がある。山の知識もなく状況判断能力がないままにただアブナイのも楽しいなんて言ってたら、ただの「迷惑なガキ」になってしまうのだが。オートバイにせよ、山スキー・ボードにせよ、どうやら楽しさの中にアブナイが含まれているからにはヒトとして求められる責任も重く、そのうえで初めてカッコイイ! と思うのだろうね。そうありたいものだ。山の中で足つってるようじゃイカンなァ…。オートバイも乗り初めに『イケル!』と誤解したりしないように気を付けよう…。
あと、もひとつ感じたのは道具の大切さかな。久しぶりの深雪で思ったよりもターンが楽だったのは、滑る前にちょっとだけバインディングを改造(?)したおかげだと思う。自分のクラシックボードは板に直接(ベース無しで)バインディングを付けてあるのだが、中古のハイバックをちょっと加工して取り換え、角度もストッパーで多少変えて付けてみた。ハイバックはほんの2〜3cm高くなっただけなのだが、確かに以前はあんなにバックサイドで曲がれなかったし、足裏からの情報量も確実に増えてた。しばらくのブランクを考えれば、(絶体)上手くなってるワケないから、その数センチが助けてくれたのだと思う。これって本当にスゴイことだと思った。
やっぱりコントロールする人間が直接触れる部分ってのはすごく大事なんだ。これはオートバイを触っててもよくあること。例えばブレーキやクラッチレバーの遊びなんかはその人の手の大きさに合わせるだけで「別のブレーキ?」ってくらい効くようになるし、ステップの位置を変えるとまるでそのオートバイの運動性能が変わってしまう。特に最近のオートバイは基本性能そのものは素晴らしく良くできているから高い金かけてスペシャルパーツを付けるより(…イヤそれもバイク屋としてはありがたいのだけど)、量産品である以上、絶体万人には合ってはいない、そんな直接人間とコンタクトする部分の微調整にこだわってみてはどうだろう? 思った以上の効果を楽しめると思う。
雪が遅かった分、まだウインタースポーツを楽しみたい気もするけど、もう3月…やっぱり愛機と共に切る風も早く楽しみたくなってきたしょ? モチロン、ちゃんと準備出来てる…よね?
では、また!