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『ミル、イヂル、ノル』

 

 ずいぶん卑猥なタイトルになってしまったが、もちろん「R18指定」ではありません。
  ここ数週間、遠く眺める山々が色づき始めてから紅葉の波が里におりてくる様を、オートバイに乗りながら感じた。趣味として新たに加わった渓流釣りのおかげで山深く入る機会が増えたこともあり、より季節の移り変わりを体感することも多くなった上に、この期におよんでサスのセッティングとメンテナンスを依頼されたり、キャブの実走セッティングなどを頼まれたりで、シーズン終わりになってオートバイとの時間が急に増えている。路面温度が低くなり空気圧の変化が大きく、ハンドリングにそれが影響したり、空気密度高くなりガスがよく燃えてパワーが出たり、メカニカルというより自然の物理的な変化をよく感じる。オモシロイ。
  先日、オフロードバイクにルアーロッドををくくりつけ、背にはお弁当と渓流竿を背負って、支笏湖近くの林道に入った。途中途中の小さな川では、もう枯葉が流れる中からそれでもヤマメやニジマスが毛針に飛びついてくる。日差しは日中いまだ柔らかく、黄金色の森の中でキラキラと輝く魚体を愛でては澄みきった川に帰してやる。振り返ると森の中に我が愛機が小首をかしげて佇んでいる。森のバックドロップには雄大な恵庭岳の姿が陽の光を浴びて盛大に着飾って見える。祝福の紙風吹のごとく落葉が舞う中、まるで一枚のよくできた絵画を観賞しているように、煙草一本分、我が愛機を眺める。カッコイイ。
  遠くから見ても自分のオートバイをすぐに見つけられるのは、数々のパーツの組み合わせと、唯一無二のワンオフパーツとオリジナルの塗装のなせるワザか。こだわりなのだ。例えば多くの人混みの中で、自分の恋人を見つけることが容易くなった時に感じる自己満足と愛情。どんなにカッコ良くて走るオートバイであっても、似たようなオートバイがズラリと並んだ中で自分の愛機を特定できないようでは我慢できないのだ。もちろん、その特徴は自分にとっては世界一のカッコ良さじゃなくちゃいけない。ま、それなりに高くつくな…。
  オートバイの楽しみ方というのは、それぞれのオートバイ乗りにとって千差万別あるだろう。大きく分けると3つかな。
  先ずは眺める。機能美と言えるオートバイとしてのカッコ良さもあるだろうし、脱がしてみてその骨格やエンジンのカタチとしての美しさに見とれる。出来上がった世界に一つの自分のカスタムバイクや塗装の美しさに惚れるのもあるだろう。部屋に上げて冬の夜長を眺めて過ごす休日もいい(実は自分のベットルームにも美しくペイントされたオートバイが一台ある)。ちょっと変態染みてるか…。
  次に整備やモディファイなど手がける。オイル交換から始まってウィンカーやヘッドライトのバルブ、スパークプラグ、マフラーやハンドルやステップ、消耗品を自分で換え、好みのパーツを自分で交換する。手を汚し、ちょっとネジをナメたりしながら、オートバイを触っている時間そのものが楽しい。専用のガレージや工具があって、BGMとコーヒーを飲みながら日がな一日オートバイを触って遊べたらいいな…と夢想する人も多いだろう。時にオートバイの整備が終わって走ろうと思った時には夜中だったり冬だったり…。
  そして走る。基本中の基本ではある。ガソリンが値上がりしても走行距離は変わらないのだ。ここはぐだぐだ書くことはしない。楽しいね。今年も残りわずか。何かに追われるかのように走りたい気持ちがうずく。この想いが色褪せることはない。
  そして、この3つの楽しみにすべて「うん、ウン、解る」と3回うなずいたアナタ。「変態」…いや、栄光の「オートバイ馬鹿」の称号を。
  昔の20円玉に1千万円払ったり、土の中にあった石をカットして磨いたモノに数百万円払ったり、時間がわかる以外の機能が何もない時計に数百万円払ったりするヒトタチに、アナタは何も言えません。
  良かったね。他人に「アホか…」と言われる程に好きなこと楽しいことがあって。

 「シアワセな奴だよな…」と呆れ顔で言われたら、「うん、そうだね。」と、満面の笑顔で応えてあげよう。

※オレ? オレはホラ、仕事だから…ぢゃまた!

 

 

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